メインコンテンツへスキップ

実践チュートリアル

AIを日常のワークフローに組み込む — 編集部の1週間の実践記録

編集部が実際にAIを1週間の制作フローに組み込んでみた記録と、続いたこと・やめたことをそのまま共有します。

WebNLG — Practical AI Academy 編集部 約5分
要点

編集部では、記事制作の1週間の流れにAIを段階的に組み込み、どの作業で時間短縮を感じ、どの作業でむしろ手間が増えたかを記録しました。正式な計測ツールは使っておらず、あくまで担当者の体感と作業ログに基づく記録である点をあらかじめお断りします。結論としては、下調べと構成の下書きでは効果を感じた一方、事実確認と最終チェックはこれまでどおり人が担う比重を変えませんでした。

今回の記録について

この記録は、編集部の1名が実際の記事制作業務でAIをどう使ったかを、月曜から金曜まで日次でメモしたものです。作業時間はタイマーで厳密に測ったわけではなく、Slackの投稿時刻や下書きの保存履歴から後追いでおおまかに再構成しています。したがって「何分短縮した」という数値は出さず、「増えた」「変わらない」「減った」という体感の方向性のみを記します。社外の調査では、生成AIの日常利用者のうち相応の割合が週あたり数時間規模の時間短縮を報告しているとの結果もありますが、業務内容や測定方法によって幅があるため、そのまま自分たちの数値として使うことはしていません。たとえばコールセンター業務を対象にしたBrynjolfssonらの研究では平均的な生産性向上が報告される一方、その効果は経験の浅い担当者に偏るなど条件依存が大きいことも示されており、Stanford HAIのAI Index Reportも導入効果が職種や測定方法によって大きく異なると整理しています。こうした先行研究も、数値を自分たちの状況へ機械的に当てはめないほうがよいことを裏づけています。

月曜〜火曜 — 情報整理と下書き

週の前半は、複数の記事テーマについて背景情報を集め、構成案を作る作業にAIを使いました。具体的には、集めた一次資料のURLと要点メモをまとめて渡し、見出し案と各セクションで触れるべき論点のたたき台を出させています。ここは最も効果を感じた作業で、白紙の状態から構成案を作るまでの着手の遅さが目に見えて減りました。もっとも、出てきた構成案をそのまま使ったことは一度もなく、必ず担当者が論点の抜けや順序を組み替えています。AIが出す構成は網羅的ではあるものの、記事としての「読ませどころ」の設計までは任せられないというのが率直な感想です。

水曜〜木曜 — レビューと分析

週の中盤は、既存記事の見直しと、簡単な閲覧データの傾向整理にAIを使いました。文章の読みにくい箇所の指摘や表記ゆれのチェックは安定して役立ちましたが、データの傾向についての解釈は誤りが混じることがあり、担当者が元の数値に戻って確認する作業が結局必要でした。この点はAIでリサーチとデータ分析を行う手順で触れた検証の手間そのもので、分析を任せても検算の手間は消えないというのが今回の実感です。一方、定型的な表記統一やタグ付けのような機械的な作業は、ほぼそのまま採用できる精度でした。

金曜 — ふりかえりと、やめたこと

金曜には週の使い方を振り返り、いくつかの用途を打ち切りました。たとえば、SNS投稿文の下書きをAIに任せる運用は、結局ほぼ全文を書き直すことが多く、ゼロから書くのと大差ないと判断してやめています。また、複数の生成AIツールを併用していましたが、切り替えのコストのほうが利便性を上回ると感じ、用途ごとに1つのツールに絞りました。続けているのは、構成案作り・表記チェック・要約の3つで、いずれも「人が最終判断する前提の下ごしらえ」として位置づけています。

この一週間から分かったこと

今回の記録から言えるのは、AIの効果は作業の種類によって大きく偏るということです。着手の重い作業(下調べ・構成)では体感の効果が大きく、判断や検証を伴う作業(分析・事実確認)では効果が限定的でした。日常業務に組み込むAI生産性ツールの現在地でも触れているとおり、これはこの編集部に限った傾向ではなく、カテゴリによって時間短縮とオーバーヘッドが分かれる一般的な構図と重なります。ただし、この記録は1名・1週間・1つの編集フローに基づくものであり、他の職種やチーム規模では結果が変わる可能性が高い点は明記しておきます。続報として、同じ記録を数か月後にもう一度取り、定着した使い方と廃れた使い方の変化を追う予定です。

参考文献

  1. Bick, Alexander, Adam Blandin, and David J. Deming. "The Rapid Adoption of Generative AI." Federal Reserve Bank of St. Louis Working Paper 2024-027. stlouisfed.org
  2. Information Technology and Innovation Foundation. "Fact of the Week: 20.5 Percent of Frequent Generative AI Users Report Saving Four or More Hours Weekly at Work." May 2025. itif.org
  3. Brynjolfsson, Erik, Danielle Li, and Lindsey R. Raymond. "Generative AI at Work." NBER Working Paper 31161, 2023. nber.org
  4. Stanford HAI. "Artificial Intelligence Index Report 2024." Stanford Institute for Human-Centered AI, 2024. aiindex.stanford.edu

関連する記事

WebNLG アカデミー

会員登録で、フルコースとニュースレターを受け取る

無料の記事だけでも実務に役立つ内容を目指していますが、会員登録いただくと、 アドバンストAIコースのフル動画レッスンと、新着チュートリアル・更新情報のニュースレターをお届けします。 登録は無料です。メールアドレスは配信目的のみに使用し、第三者へ提供することはありません。